ポエム
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永い夜の部屋。

いまでも、
この世界にある色の
なかでいちばん白が好き
白にはなにひとつ
混じっていないと思う

ホントは
そんなことなくても

そんな風に信じていた
むかし、
僕はただ、君の真っ白な胸をみていた

いまでも、
この世界にある色の
なかでいちばん赤が好き
赤には一滴の血の味も
してはいけないと思う

ホントは
そんなことなくても

そんな風に信じていた
むかし、
僕はただ、君の真っ赤な口紅をみていた


君を
みていられた幸せがあり、
そして君に逢えない夜になった
心臓を
薔薇の棘で縛りつけられた、
長い、長い、長い長い、永い夜のこと


夜は凍えるほどに寒いなんて言うのなら
そんな夜は長い小雨が降りつづけているからだ

裸の心には流れるように語れる言葉だけがない
そしてそこではしずかな雨音が聴こえるだけだ


深い海の底に
君の小さなプライドが漂っていたよ
僕だけにはみつけることができたんだよ
そしてプライドよりももっと大きな悲しみも
ぷくぷくと吐息を吐き出して
どこまでもどこまでも、
沈んでゆくものだから。

僕は、心配になってしまっていた

けれども勘違いはしないで
それは《良い愛》なんかじゃなかったから。

それは醜い、卑屈に堕ちた道だったはずだ
僕の
僕じしんのための
僕だけのための
君への、細い、たぶん届かない、道だったから。

そんなすべてを、
そんなすべてのいやらしい僕の裸の心を、
みないでいてほしかったのだけれども
それを言ってはいけないことだと知っている
最後の《良い心》だけはじゃっかん残っていた

すべてを、
そんな、すべてのうすら汚れた心を曝け出して、
僕は君を
どう愛していると
言えばよかったのだろう?

でもそんなこと、許されない、いけなさだったから。

夜は
ほんとうに
寒かったんだ

そして心は凍ってしまったんだ。

君に逢えなくなって、夜は、
それだけが救いになってしまうほど
心凍らせなければ、生きてゆけないほど
君に逢えなくなって、
僕は、
夜は、
ただみにくく、なさけないかいぶつに
なり果ててしまうんだ、いつもいつも

息をすることも苦しい、
その部屋は、
しずかな雨音だけが聴こえる暗闇の部屋。











22/05/01 08:48更新 / 花澤悠



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