小さな笑顔をみている夜に
信号を送っていた
それは届いていると信じ込み
青空の下に、僕たちは
なにひとつ、だれに恥じることのない
笑顔でいられるようにと
笑顔でいられるようにと
でも 君はそっぽを向いて冷たげで
そんな、君がなにを想っているのか
それもわからないままに
笑いかけてみた
春だからそれも許されるかなと
好きですと、口に出して言えなくて
何度も何度も、笑いかけてみたんだ
その黒目がちな目が潤み、そして
涙のこぼれるほおはピンクに染まり
まるで子どもみたい、
涙を横ぬぐいでぬぐい
少し頼りなさげな瞳で
僕を見返し、照れたように微笑んで
くれているとき、たぶん僕は
とても不安そうな、困った横顔で
うつむいてしまっていた
なにも、言えないまま。
好きですと
言葉で言えなかったその夜に
クラス写真の小さな君の笑顔をみていた