ふたりの瞳をからませ愛
桜が
生きにくい辛い生き方を
している君の泣き声を
聴いてあげてほしいと
ささやきながら
身をよじりながら落ちてくる
僕に
受け入れてくれと
ささやいてくれるのなら
なんどでも、なんどでも
持ち合わせているすべて
ありったけのこの愛で。
水平線のかなたに
みえ隠れする遥かな
むかしのこと、
正しい喜びって
なんなんだろうと
嘘みたいな悲しい問いかけを
君にされたことがあった
心に架かる
虹の色が人それぞれ違うとしても
僕と君の色が違うとは思わないから
伝わらない世界には
色はなんらかの意味を持ち
ただ消えることが
透明になることが
さだめなのだとしても
そんな
ふたりの会話もない瞳のからませ愛が
まるでせつないこの世の最後の流れ星に思えても
ふたりの距離は限りなくゼロに近づけたと思えても
色さまざまの薔薇の棘が
君に巻きついてゆくさまを
み続けることしかできなかった
泣きそうになりながら
君を
みていることしかできなかった
私は
あの悲しい結末の待つ水平線を
知っていたというのに。
桜が
君の
静かな死を
私に受け入れてくれと
ささやくのなら
私は君のために
生きたい
そんなことで許されるはず、ないとしても。
私は
君の
心に巻きついた薔薇の棘ごと
抱きしめてみたかった
そんなこと、許されるはずなど、ないとしても。