僕をみつけて?
夜に堕ちて、
むかし旅した冬を想い出す
客船からみる黄昏の海は
ただただおだやかに
でもキラキラして
波が、人魚の金髪のようだった
想い出せるのはそのしあわせな
現世と常世の狭間のような時間
そして今となっては
想い出すことしかできない、美しい時間
そして想い出すのは彼女の言葉
《満月はお菓子のように
食べられたがっている?
そんなわけ無いけれど
とっても美味しそうなんだもの
わたし、満月を食べたいな
無理なら、満月に《なる》のでもいい》
それを信じて生きる人の心は
運命を信じている人の真心を
ちゃんとみきわめ
瞳、濡らしてくれる新しい喜びは
いつもそこにあったし
いまだってほんとうは
ここにあるのかもしれない
あたりまえの顔をして、
足をブラブラさせて
三日月に乗っかってるかもしれない
リゲル、リゲル
そんな僕をみつけてほしい