天使の翼が折れた夏
ときめく希望と憧れの波が
沁み渡る街に君がいない、なら。
今日もじぶんを騙し切った
さみしくても……
……生きていられる、というのは
ただの希い、だよ。
日常のあちらがわへ
背中を向けて歩み去った
アスファルトに照り返す
陽炎立つ夏
憶えている
歩行者信号のグリーンの点滅
あのとき絶望の頂点からさえ
転がり落ちたレディコミみたいな
非日常の生活さえゴミ箱に入れちまえる
押し寄せる真っ暗な悲しみを初めて知った
ただこの夏、君がいないというだけで
それだけで、もう、
ときめく希望と憧れの波が
沁み渡る街に君がいない、のに。
長いこと嘘をついているけれど
翼が折れたのだと……
……痛い、というのは
ただの台詞だよ。