海底の街
夏は、アスファルトの匂いがする
横断歩道が、浮雲の橋だったりする
昨日は夕陽が夢のように綺麗な絵画をみた
眠れてなどいない、ただ透きとおっている
血まみれのイノシシが
ビルの間を疾走するのが昨夜の夢
傷ついても、思い通りでありたい
寂しい、強い、意志。
そこは良い人ばかりで、まるで静かな
海底を、浮遊しているクラゲみたいな
悲しむ人さえいない、そんな街。
そして夜は、少しピンク色に染まる
明日、黄色い涼やかな風が吹けば
私の目から、水色の空が流れ出すだろう
道に倒れたそのやわい肉を、だれか
抱きしめに来てくれは、しないだろうか。