ポエム
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月が落ちた街で。

わたしよりは純情だから
ひとを救うために
一度じぶんを嫌ったかのじょ、
その瞳に映るのは
月のかけらみたいなガラス、
粉々にされた正直、
そして
月も落ちた未来の消えた街。

昨夜は、
そんな街の雑踏に紛れて、
だれかが歌う
夜の歌も聴こえたのに。

昨夜は雨も降って、
裸足の足跡を消して、
アンブレラの歌も聴かせてくれたのに。

こんや夜空の高さが
すべての希望を、
届かない焦りにも似た
涙に変える。

欅の坂を下り、
白のワンピースのすそをひらひらさせ
ちょっとだけ微笑んでみせたのは、
さみしくてしかたのなかった
幸せを追いもとめる月を、
涙ながしてみあげているわたしじしん、
それでもやっぱり、
みずから可笑しいなと思って。


月がもう落ちた街で。

夜の歌が聴こえる未来の消えた街で。





21/07/31 22:43更新 / 花澤悠



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