色の詩
茶色の猫が壁に向かって
牙を剥いていた
小刻みに震え
みえない恐怖がみえているような
小さく飛び上がっては
壁に向かおうとするが
なにかが邪魔してそれができていない
終末を迎える僕のようかな
しつこいくらいほおを刺す風
血の匂いまでする
猫はいない
壁に向かっては
いない
はじめて出会った一匹と一人で
笑いあった
それから一匹と一人で
近くの土手に行って
それでも吹きつける風の色を
あれこれ想像したりする
僕は赤色だと言う
猫は茶色だと言う
21/06/07 21:11更新 / 花澤悠