美しい海月
死が美しいだなんて
空をみあげると涙が止まるみたいな
ゆめものがたりだ
それは美しい死をみせられ
残されたものが語る
ゆめものがたりでもある
息ぐるしい海の中を泳ぎ
塩の痛みに目を閉じてしまった
それは星月夜
目を閉じずとも海の中では
なにもみえない
けれどもなにかは聴こえる
波の音ではなく
人魚のあげる波しぶきでもなく
セイレーンの歌う声でもなく
まるで運命の馬車がこちらへ向かって
走ってくる激しさで
少し怖いような
そのあと私を
どこに連れていってくれるのか
えいえんに
深く深く潜り
貴婦人のような海月をみたとき
その透きとおり発光する円環は
まるで運命の微笑みを
咲かせているのかと思った
そしてそのまま更に深く潜りつづけること
それが消えゆくことなのだとしても