ポエム
[TOP]
神に許されたおんな

神はわたしを、許した

悲しみが絶望に変わった夜に

透きとおる、意識もない罪が

血管を流れつづける音を聴く、春の夜

いつまでも子供のようだねって

髪を撫でてくれたのね、あなた

そのやさしさは毒のように

白く崩れ落ちる心を蝕むの、それも夜ね

絵に描かれた雪の冷たさを

その肌で知って、さ

ただ届かない歌を歌ってる、って、知ってる

あの祈りは

忘れ去られたまま

つわものどもの夢の跡のあらのに

兜のように転がっているのか?

それとも生きながら埋葬された夢の

いたいけな甘さにかこつけて

もう死んでしまっていいのかと

尋ねてしまうのか?

そしてこのわかれの歌を聴くのが、そんな

無上の、喜びだとかいうのなら、

まるで平行線のレールのようだと思う

決して理解できない、届かない


そうなの?

そんな想いもあるんだよね、辛いけど

でも、ね、

あのね、ちゃんと聴いてよ、お願い



あのね、

《神はわたしを、許した》んだから、ね?






21/05/24 07:45更新 / 花澤悠



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c