ポエム
[TOP]
小さな旅を照らしてよ、月光


最寄りの駅から
普通列車で、あなたに会いにゆく
小さな旅。

古びた車内は
逆に心をウキウキさせるのです。

あなたに会うというのに
なにも特別なものは持っていかない、
けど。

《必要》最低限の
私だけ、
届けようとする、
とか。

(ハハ、)

(バッカだねー、あたし)

夕日がそろそろ山に沈む。
そこに現れる月は
実は
目に見えない新月なんだと知っている。



でも、

月がいるはずの夜空を見上げて、
私は
そのとき、
思わず立ち上がってしまうかもしれない。

私にだけは
見える、
あなたの笑顔のような
まん丸い光をそこにみつけて。

ほかにチラホラとしか
乗客のいない
鄙びた列車に乗り、

そんな夢でも見ながら
コトリコトリと普通列車は、
とっても小さな、旅を続けるのです。






21/04/09 21:40更新 / 花澤悠



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c