雨に詩うへび
するりと近寄り
あたたかい牙が心臓を
突き刺す日
冬を待つはずの部屋が
真っ赤な夕日のように
愛が染まったベッドに
燃えさかる
貴女への愛の傷と希望の死の棘が
要は昨夜の雨がまだ止まない
片頬で
くちびるつりあげ闇の笑み
光を棄てても
愛されたいままだと勘違いしていた
へびよ泣くな
かえしてくれたのだから
奪われたこころは
じぶんのもののつもりか
森に住むあなたに触れた
冷たく死んでいる
あなたがへびにみえた夜でも
あなたにくるまれてみたかったのに
要は『良い別れ』なんて卑怯!
そんなもの何処にもなかった
良い別れ
それを卑怯と決めつけて
そういう卑怯に目もくれず
吹きつける風
針と化す雨を
浴びて濡れているこんな今夜
からだは陰鬱な詩をうたうへびだし
こころは煉獄に絶望の吹き曝し