初冬の風景
枯れ枝を揺らす風が
猫の鳴き声のように聴こえた
昆陽池公園のそばには
電車など走っていないのに
なぜか電車の通りすぎる音がして
私の耳はどうなってしまったのか
その日は
一人で花を見に来たのに
いつのまにか夕闇の空には
宵の明星がまたたいていたりする
唇から名前がこぼれそうになって
なにかといっしょにそれは飲みこんで
あと、こらえたものがひとつある
帰りたい家もあるし
帰ろうと思えば帰れる幸せもある
生まれ変わったら
失敗せずに生きられる
というわけでもないだろ?
初冬の風景は
少し、寒い