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愛の監獄
いや別にね、
タイトルほど深刻な話じゃないんだけどね、
人を好きになるって事は、
自分の中の自由をひとつ損なうことになるなぁって、
そんだけのことなんだけどね。

たとえばかる〜い接触事故があったとして
そんなものはただの事故なんだから
時の流れとともに忘れてしまえばいいんだが
なかなか消えない、
言い方が、悪いか?
キスなんて欧米じゃあ、ただの挨拶だからね、
そんな深い意味ないんだって。
(キスに意味がないって、なんだよォ。)
あ、いや、意味はなくていいんですけどね。
この場合。

朝日のエネルギーを貰って、
気がつけば、堕ちて倒れた世界から、
立ち上がり、飛び立つことができそうで、

でも、できなくて。

足もとにまとわりつくのが、
鉄の玉と鉄の鎖、
わたしたちは、だれも飛び立てない、
定めを自覚しなければならない。

どれほど軽やかな夢を身にまとおうと。

いつまでも、星を、見上げ続けなければならない。

愛の監獄と名づけたそれは、
わたしのいちばん大切な感情を
刺々しくささくれ立たせて、
べつに好きでもない人のこと、
なーんか、考える事態に陥らせる。
あ、この字、知ってる、
陥穽って言葉の「陥」じゃないか?
あ、わなか?
わたし、罠に嵌められたのか?

愛の監獄とは、罠のことだったのか?

いつまでも続くわけない悲しみを
ゆっくり噛みしめて、しっかり味わうよ。

あなたに出逢いさえ、しなければ、よかったよ。
それなら、傷ついても笑っていられた。
ほかのだれでも問題はない、
あなたでさえ、なければ。
あなたなら、それがわかっていて、
包みこむあたたかさを、ちゃんと
与えてくれるのだろう。
それがなおさら、傷つけることも、知ってる?

わたし、愛なんて、いらなかった、な。

こんな、監獄に住んでるみたいな愛。

わたしの自由を束縛する愛。

涙こらえる愛。

痛む愛。

愛。












19/03/13 09:23更新 / 花澤悠



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