もう、思い通りにされるのはうんざりなんだ。
ちいさくふるえた愁い、
君の横顔は、それでも綺麗だ。
凍りついたささやき声、
君の希望はいまはもう、無口だ。
鈴の首が落ちる優しい音を聴くとき、
僕が足元に気をつけているのは、
ガラス玉を呑み込んだ、
イカした恋の泥棒が、
朝の四時に、
カラスにつつかれる夢をみたからだよ。
懐かしい恋の味の「火の酒」、
君もかつて飲んだだろ、僕とだよ?
忘れたというつもり?
水色の雨傘が空に溶け込むのは、
桃色のお酒を呑み過ぎた、あくる朝。
メッチャ泣ける夢のカケラ、
拾い集めても再生できないから。
松の葉が突き刺さる柔肌、
血と諦めが流れ落ちるにまかせて。
合流注意の人生の別れ道を知る。
君となら接触事故も望むところだが、
爛れた愛の儀式を知りながら、忘れ、
忘れ果てて、ただ、やさしいキスに逃げる。
わからないままに溶け込む。
水銀の滑らかな絶望を、知った罰を受ける。
そっと目を覆って、泣いていないんだと、
言い張る、
黄泉からの憧憬が聴こえるのなら、
届いて。
この手からこぼれた罪の花。
そして、
世界を覆う、夢をみさせて。
23時の雛鳥たちのオレンジの恋を、
忘れさせてくれない、想い出のセピアの香り。