ポエム
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あの娘は微笑む三日月見上げて


捨て猫をひろって帰った雪の日に叶わぬ望みがあると知らされ



若かりし眩しき夢を覚えたり『レモン哀歌』を読みて泣きぬる



その冷えた心の形をしっかりと抱きしめたいって小雨ふる夜



遠足で食べた彼女(はは)のおにぎりは冷えてたけれどあたたかかった



葡萄という漢字をソラで書ける君スマホがなければ尊敬していた



夏は来る瓶のビールをキンキンに冷やし帰宅を待つ母逝けど



割れ茶碗を傘に見立てて雨宿りする蟷螂の濡れそぼつ斧



損得でするわけではない恋のはず一人で蛍を見にゆくあぜ道



若ささえ無視するような静けさであの娘は微笑む三日月見上げて



別れ雨、伸びやかな手がひらひらと振られていたのは紫陽花の駅




20/06/08 03:19更新 / 花澤悠



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