ポエム
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黄昏がすむ部屋

駅近の便利な物件、小さな
黄昏がキッチンに立っているそっ、と

かってにハンカチを取り出して
ついになみだまで浮かべるものだから

それが一番うそっぽいでしょ、って
しずかにキッチンを歩き廻るそっ、と

私は私のいい加減さを知っているし
あなたの弱点も知っているきっ、と

けっこう蛇口から漏れる音が聴こえるんだ
ポツリ、ポツリ、ポツリ、と

まるでむつごとが蒼く光る夜みたいに
耳元でささやくんだ、よねポッ、と

ほお染めてうつむいている
かぎりなく透明な空気の中

駅近の便利な物件には
小さな黄昏が住みついて

私を呪うかのような目つきを見せてそれでも
私の弱点を好きだという、んだポツリ、と




20/06/02 23:28更新 / 花澤悠



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