ポエム
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美しい声
街角は、雨

けさはまだ、青い空さえ
みたこともない
空港へ向かう

見上げても、雨

雨のまざった、涙

『好き』を棄てたのに
まとわりつく『好き』

ゆいいつ、どんなめにあっても
生きてゆける旅券を棄てたのだから
あたりまえなの

かな

別れてもいいといったよ
別れてもいいと思ったし

それは嘘じゃない
嘘じゃないけれど


はるかなむかしばなし、
青空のした
はしゃぎ回る仔犬、
まほろばの街。

無邪気に吠えてた
その鳴き声が、忘れられない。



あかり瞬く、
見上げれば、
まるで巨大な墓石さ、ターミナルホテル
ぐだぐだになったりした、
こころの壁も崩れ落ち
みかねて
裸のこころでネットの海を泳いだ
眠れなかった夜へ
こころへ

メロディーレインが降りしきる

この街角では
想い出さえも濡れそぼつ

だからといって、どこへ、
ゆけばよいというのか

出てゆくのなら、
最後に教えておいて欲しかった

かな

お願い、
もう一度だけでいい、
美しい声を、もう一度だけ、聴かせて?






20/05/21 00:12更新 / 花澤悠



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