時を、もどして。
奇跡だと
呆れかえってくれ
逆回しなんてできないと、知っていると
春を迎えず
冬はどこへゆこうとしていた?
散り急いだ桜は
ふりかえらずに
大好きな人をとり違えたと聴く
命の祈りが
いつか震えることも
みてきたように知っている
明日、
叶わない奇跡の
はずの正しさだった
苛烈な夏、はどこへ来るか
静かな秋、はそのあと来るか
ほんとうにあの
美しい冬、はやって来るのか
ちゃんと
ちゃんとして
いちねんが
ゆっくりとすぎてゆくのなら
そんなしあわせな言葉が
日々平凡な毎日のなかで
聴くことができるなら
こんな《時》なんて
要らない、と、
大声で叫びたくなる
時よ、もどれ、と。
命の祈りだけ
殺さずに飼っておく
こんな小さな胸にでも
ただ、
時を、もどして。
あゝ、そうね、むかしあった
いまとなっては、眩しすぎる
極彩色のあの《時》を