船首を、きれ!
透きとおったからだを
ずっと
かくしていたかった、
この街にまきおこる
春の病で
あしたの幸せまで
呑み込まれてしまうなか、
なかに大きな星はあったかい
そとに小さな涙はあったかい
外灯ともる夜になるまで待って
毒蛾の霧にくるまれて
黒猫を砂浜で涙をこらえてさがす
ハハ、死にたいといってるみたいだな
「船首を、きれ」っていったって
なんもわかっちゃいないなぁ、
なにもしらない悲しみめ
ヨーソローって
どちらに向かうんだったっけ?
20/04/24 04:13更新 / 花澤悠