ポエム
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濡れて、いたんだよ


瞳とくちびる
濡れていたんだ

心臓が踊って
きゅんと締められて
苦しくなって
いつか
恋の叶う日を
夢みてもよいのだろうか

それぞれがさみしくて
極北を目指して
歩きつづけている
焼け果ててしまったビル街は
三月の川にいたるだろう
散り初めて
三月さくらの唄は

あらあらしい
素描をされて
硬質な哀しみを散らすだろう

みあげると空には
柔らかな雲が流れていて
まっぴるまっから
うすい
しろい
三日月が
ただひとり屹立している


そうしてその月のか細い光で
小さな真白な花は咲き
そこに暖かい思いを
みつけようとみつけまいと
すぎてゆく時間は止まらず
ぼくの恋はここに
君の濡れたからだをかきいだき
成就するはずだって

それがいちばん大好きな
大好きな君への
夢の対価というけれど

そのまえに
おぼえてる?

でも君の瞳とくちびるが
濡れて、いたんだよ?




20/04/19 10:43更新 / 花澤悠



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