だれか。
だれか。
私の頭のなかの
鳴りつづけるシンバルの音を
どうか、
止めてくれ。
あの、
この世をいわう
魂のささやきさえ聴こえなくなる、
やかましい、
ジャンッ!ッ!ジャンッ!ッ!
って鳴りつづける、シンバルの音を。
戦うことが大切だろう、
この国では、
磨きあげてきた平和を尊ぶ風の音が聞こえる、
けれども、
いまにも倒れそうな
高層ビルやタワーマンションは
じつは、
永久不滅で不倒の巨人である。
けれども。
戦うことが大切だろう、
だから
運命に毒づいた朝、
けれど
朝日に染まった君の顔を
眺められる幸せが
真横で眠っていた。
やっぱりそれは
与えられた人生でなければ、
いい。
ほんとうは、わからない。
もう、いつだって終わってしまっていい
人生さえ台無しにする
けたたましいシンバルの音で。
ジャンッ!ッ!ジャンッ!ッ!
って、
そのシンバルの音こそが、
私じしんの、言葉にできない、
自傷で流した血しぶきの音。
なのかもしれない。
戦うことが大切だという
なによりも正しい命題もじつは
かなぐり捨てたい。
のだけれども、
あゝ、五月蝿い。
五月蝿いんだ
この、シンバルの音を。
だれか。
止めてくれ。