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彼女は宇宙人ではない 3
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なにを探していたのか、
なにを企んでいるのか、
なんてもともと、どうでも良かった。
実際、彼女の探しているものに
興味があったというよりも、
探している彼女の方に、圧倒的に興味があったんだ。

しかも、遠くでは、雰囲気しかわからなかったが、
近づいてくれたお陰で、
その、一言でいえば、優れた容姿を目にし、
お近づきになりたいと、
思ってしまっていたのだから。

まぁ、確かに、少々、不審な態度だし、
急に僕を食事に誘うとか、おかし過ぎるし、
手のひら返した愛想の良さも十分不気味だが、

それにも増して、食事のお誘いは
魅力的で、おそらく、彼女は
その魅力をわかった上で、
僕をなにかから遠ざけようとしていることだけは、
わかるのだが、
べつに、もともとそんなものに
なんの興味もあるわけでもないし、
ま、たとえ彼女が宇宙人でも、
この容姿なら全然許せそうな気がする。
地球人に害を加えないかぎり。

いや、逆に、宇宙人とお食事なんて、
ありがたすぎて、ギャラを払わなきゃとか
思ってしまいそう。

いや、そうじゃなくって、
『光栄です。ご一緒させて下さい。』
と、応えたその時から、
僕と彼女の、口に出せない、親密で緊密な
人と人としてのお付き合いが、始まったのだった。



(これは、ふたりの出会いの物語。)

(このあとのふたりの物語は、また、後日。)

(彼女のOKが出たらね?)

(ここまでのはなしは、実は彼女には、内緒)

(見つかったら、ちょっと、怖い)

(じゃあね?)




19/03/07 22:27更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
彼女は、宇宙人ではない。3部で、とりあえず終了です。ホントの物語はこれから始まるのでしょうが、出会いのシーンは、これで終わり。

長々しい詩を、最後までお読みくださり、ほんとうにありがとうございます。

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