真夜中の少女
真夜中に外へ出て
枯れ果てた樹々の下を歩いた少女よ
なにかの真実が落っこちていて
世界の秘密を知ることになったか
冷たい絶望を懸命に隠し込み
彩りのある笑顔は絵画になったか
その夜の尖っている三日月へゆく
幸せな汽車はまぼろしだと知っているか
みのたけを知る少女のつぼみは
星々を見たくって
すこしでもはやく花を咲かす夢を見る
それはどれほどの希望なのか
けれどもかよわげな少女よ
よわいことが罪なのではない
よわい気持ちをただ生きにくく感じ
無駄な涙を流してしまうことが罪なだけ
だから聴いてよ白色の少女よ
じぶんを嫌うことが悪なのではない
じぶんを嫌う心を掬って食べる
ばかだけがじぶんを好きになれるだけ
真夜中に外へ出て
雑草しげる川のほとりを歩いた少女よ
ちいさな哀しみの水滴を見つけて
世界の涙を知ることになるか
たえがたい怒りを懸命にたえつづけ
まっくらな瞳の奥に涙を封じたか
その夜の尖っている三日月へゆく
幸せな汽車はきぼうの煙だと知っているか
あきらめたのなら
そのままの輝きを保ってさえいけない
だからあきらめない少女よ
これではいけないとじぶんの胸に手を
あてるのならその手は
じぶんの胸のなかの可憐を取り出して
ぐっちゃぐっちゃに握りつぶして
しまうために極寒の真夜中を生きていけ