微笑んでおくれ、女神さま
壱
風の噂に聴いたこと
世界の果てに女神おり
白い罪びと、裁くとき
慈愛と光に満ちている
聖なる瞳に映された
とてもしずかな哀しみを
だれにもみせずにうなだれる
深夜つめたい月光に
照らされながらぼくは起き
しずかな光がさらさらと
眠るしかばね起こすとき
善よりかなしい、愁いの女神の
甘く蕩ける匂い、吸う
もう、忘れることなど、できませぬ
女神は、か細く、冷たい、指で
ぼくの、頬っぺに、ツー、と、触れ、
でもきまじめに、泣きそうな眼で
ぼくをみながら、ウインクしている
弐
風の砂漠の
オアシスに
白い罪びと、いるという
聖なる泉のそばにいき
しずかに揺れてる女神の目を見て
とても綺麗な哀しみが
乾いたみたいと、嘘つき、みつめる
深夜つめたい月光に
照らされながらみつめ合い
しずかな光がさらさらと
眠るしかばね起こすとき
ぼくよりかなしい顔をして
甘い匂いの息を、吸う
もう、忘れることなど、できませぬ
女神は、綺麗な、冷たい指で
夜の帳をそっと引き
それでなくても泣きそうなのに
無理に笑ってぼくへと寄り添う