ポエム
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『哀愁の二月』

夜の街で騒ぎチャチャチャと踊りまくったあの頃汗まみれで銀の鈴を鳴らし夜更けの爛れた愛情もあったり夜明けまえの湾岸突堤で星が目をそむける熱いキスをしたり君を思い出すのはこんな二月の港町で潮の香りを日本酒を飲みながら感じたときテーブルに指で酒文字を書いてみる神様なんてキライです神様はけっして乗り越えられない試練は与えないって我慢はできるよねなかば死んだようになるけどね酒の力を借りてやたらめったら陽気に振る舞うそれでなんとか認めてもらえる夜の空に浮かぶ真っ赤な月もすこしは笑ってくれ



(だれかあの人に、もう一度、会わしてよ?)

君に、最後に会えることを信じてあたしは愛と名乗ってこの港町を飲み歩く嫌いと言い放った神様にほんの少しでいいから答えを期待しながらぬるめの燗をツーッっと飲み干し今夜がわけのわからない悲しみの夜とならないよう慎重にでも情念こめて願うのさ月よ月よ

(つきよ、あの人に、もう一度、会わしてよ)



夜の街に溺れ助けてくださいを声高に叫んで倒れたむかし描いた冷たい世界などここにはなくやたら悲しい演歌の歌声の響く閉鎖空間に酔っ払っても洗脳されている世界私はみた『哀愁の二月』の流れている世界ホッケと付出しのおひたしが酒の肴あたしを不思議なものをみる目でみてへんな期待はしないでくださいねただ美味しいお酒を飲みたいだけなんですこの『哀愁の二月』のよく似合うメランコリックな雪も降らない街並歩いているいまは笑ってくれている赤い月の優しさ知りこんなあたしにでもありがとうといいたいつきよ



20/02/23 17:20更新 / 花澤悠



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