『幾百億、幾千億のうた』のうた
街は、君のことが好き。
しんけんに、
みあげればみえる
幾百億、幾千億の銀河系の
白いカタツムリ状の渦巻きたち
星雲と名乗る用意があるものたちです。
街の灯がなんだか深く
アスファルトに染み込んで
同じく
オンザロックで、ただ酔うためだけに
飲み干された酒が
撒き散らかされた悲しみを
照らすとき
街は、わたしのことがキライ。
だけど、
そのむかしのうたを
照れながらでも小さな声ででも、
そっとうたうのです。
悲しみをもてあます心には届いて欲しいから、
君の?
この街が、いつ君の罪の許しを乞う?
いまのこの
キズだらけの醜いカラダを
優しい光でくるんでもらいたい、
忘れてはいけない、とおい街からつづく
眼にはみえない無垢な祈りのリボンで。
蝶々結びにされたリボンは、
ゆうらり、ゆうらり
蝶々の速度で
淡い愛情の花びらの許しのなかで、
照れながらでも、揺れるのです。
君は、わたしを好きになる。
そのために
むかしから来たわたしのうた、
その音符の一つも星屑の一つとなり
夜空から凍った糸で
いくつも
いくつも
ぶら下がるのでしょう。
それが。
『幾百億、幾千億のうた』のうた。
そのきらびやかな銀河の門には
君が自転車に乗って
待っていてくれるのでしょうか?
わたしという肉体は
それをもう一度あらためて
見つめ直す心を持つもののことです。
わたしには、君が必要です。