夜
夜は暗い
暗いから
星が眺められる
僕の声の金属的なノイズでは
星を表現することなどできない退屈な夜
ふと月面の夢を見る
いずれたどり着く夢の中の月面の
あたたかな風吹く湖に身を投げる
そんな幻に弱い表現者の
まるで生が空虚であるかのような
そんなデカダンスな夢の中で
その湖畔に咲いた
可愛い真っ白な花を
摘むことはせずに
その光の反射に
慰めてもらう
夜は
その光のもとにある
彷徨う慰めが泣き出したから
優しさを偽った哀しみこそが
無限の数えきれない星の数だったりする
哀しみだけで
作り上げられた想い出をたっぷり
味わうことができる
夜の懈怠を飲み込んで
気がつくと
いつのまにか
味わうことが
怖くなっている夢追い人がいたのか
たしかな微笑みを浮かべて
僕を待っていてくれているようだ
夜は
暗い
暗いから
星を眺めている