ポエム
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らぶ
少女がいま黒い部屋でしずかに笑っているのは
そこに活けられた中原中也が枯れているからです

中原中也は季節に追われ
小さな窓から見える春の風に憧れたのですが

羨ましいとは言いませんでした

空から陽はあとからあとから降り注ぎ
世界はじっとしても生き生きもしていますが

羨ましいとは言いませんでした

そして中原中也の小さな命を守るために少女は
なんともつまらない約束をしてしまいました

顔も髪も胴体も手足も
明るい空のもと
やがて捻れるような奇妙な雲を眺めて

未来には心を除く全ての自分が捻れるので
心だけはなにがあっても笑っていましょうね

少女はとっくに終わってしまった昨夜
夢の架け橋にただひとつの希望を置いて

中原中也の魂といっしょに揺蕩うのです
それだけは忘れることのない

らぶって想いの強さもある意味
縛られる縄のようだと知ってもなお

悲しげに寂しげに笑う少女を
楽しげに儚げに笑う少女を

みつめあう瞳がふたりっきりの夜を
過ごすことを選ぶのでしょう?

ええ、もう、それはそれは、
好きですからってね。



19/12/08 07:22更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
これで、おしまい、かな?
中原中也が枯れてしまったらさ。
詩なんて、書けないもんね?

それじゃあ、皆さま。また、どこかでお会いする日を楽しみにしています。
でわ、でわ。

なーんてね。
うそうそ。
まだまだこれからも気が向けば書かせてはもらいますので、あしからず。

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