ポエム
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スローな世界に憧れて


「わたしがわるいから」
「やめたいから」
「証拠なんて、ないねん」

なんの脈絡もなく
紡ぎ出された寝言を聴いた
寝言は寝て云え、とはよく云ったもんだ
わけがわからないのは
寝言だからだろう

ブルーのカーテンの向こうは
もう明るくなっていて
全世界に朝がやって来たような気になる
地球の裏側は黄昏なのかな
よく知らないけどカーテンの向こうの
車の通る音や
さまざまな雑音や
カーテン越しの日光が
この部屋にはうっすらと入り込んで来る


夜が好きだ

あの
これから一日が終わる感じの
これから世界が眠る感じの
どんな罪も包み隠してくれそうな
どんな欲望も眠りつけてくれそうな
閑かで静かな
夜が好きだ

そんな夜も
今ある朝も
想いつづけているのは
(敵は、作りたくないなぁ)
平らかでなくても
穏やかでなくても
石ころだらけの坂道でも
棘だけはない人生を歩みたいな、


「どうでもいいって、感じなん?
どうでもいいやつしか、入れへんてこと?」

また彼女が突然語りかけて来た
寝言で?

あるいは、起きてる?

「もう、いいって。〇〇さんて」

ちいさく呟いて
ちいさな寝息を立てている


波風立てずに生きたいと
心の底から希うけれども
きっとそんな日常はやって来ないし
やって来たとしたらそれこそ
なぜひとは生きてるのかってそんな馬鹿げた
問いを発しそうになる

青春映画じゃあるまいに







25/07/20 07:57更新 / 花澤悠



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