幾星霜
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た
時代のすみっこで
うす暗いひとけの少ない鄙びた路地裏で
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た
『あの匂い』とか
『昭和享年』とか
『ラブホ』とか
つまりレトロな夢を与えれくれるような
町を
われわれは知っている
あのころ
『血まみれの猪』が
賑やかな都大路を
走り抜ける姿を
わが身に焼きつくすように重ねて
だから
われわれは
それぞれがひとりで
ただひとりひとりで
向かい風に向かって進んでいても
よいのだと懸命に信じ込もうとした
幾星霜、のちの
秋の葉枯れ果てた骸骨の降り積もる
広野に立ち
尾羽打ち枯らしたるものたちよ
明日が怖くて起き上がれないものたちよ
それが安心を買う病だと知っているのだろう?
(まぁ、じぶんのこころだもんな)
ただ、慣れてきたので
こころがじぶんを騙すことが
上手くなってるだけだよな
けれどわれわれは
忘れてなんかいないよな
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た
都大路の裏路地で
弱くなりそうな心を接ぐように持ちあげて
傷だらけの闘いを
われわれは闘いつづけて来た