夢のなかの風景
緑のバラを、想った
深緑の森や林の木々のなか
目立たない色で
保護色で
きっと
生命を長引かせるために
子々孫々繁栄させるために
種として生き延びるための
色として
生きるあかしの
緑のバラ
ふと、想った
それで、
バラである意味など
あるのだろうか?
と
真紅のバラや黄色いバラ
幻の青いバラや
あの紫のバラ
それらの
華やかさが
バラかバラとして生きる意味だとすれば
ほとんど
確信めいて
泣きそうになり
なんだか
やさしい眼差しを
かけてあげなくては
と
想った
緑のバラ
の
ありように
なんだか
なにかに似てるなぁ
なんだか
だれかに似てるなぁ
そんな想いが
ふと、
あたまをよぎった
そして
なんだか
ただ蒼空が無性に恋しくなった
そして
こころの奥のほうの泉に
なにかちいさなものが
落ちる
音がした
そのあとに
こころが静まりかえった
それから
しばらくして
そういえば、と
ふと、
想った
緑色のバラって
私はみたことがない
それっぽいのって
ほんとうに
あるのだろうか、と