嘘つきが好き
(短歌九首)
くちびるを
キス顔よりも尖らせて
正論云うから、絵画にしたいな
AIが
こんなやさしく髪の毛を
撫でてくれるし、愛してくれるし
光る夏
蝉の死骸の中にある
報われなさを踏んでから知る
パラソルを
借りているのはその影で
読書をするってそれだけのため
エアコンが
無ければひとはこんなにも
やさしい愛を確かめ合えない
通信が
無ければひとはこんなにも
ひとの気持ちを知ることも無い
ひとりでも
生きてゆけると云う嘘を
奥歯を噛み締め信じるフリする
やぁみなさん
最後の最後に審判が
あるならそんなに笑ってられます?
そんな問い
軽く片手で追い払い
笑っていられる嘘つきが好き