夏の虹のうた
梅雨が明けてもあたしたちは
その雨が降って来るのを空をみあげ
今日こそ虹をみるんだとぼんやり待っていた
そのときこそありがとうと云えるという
溶け始めたグラスの氷みたいな嘘を
溶かさないように気をつかいながら
だれもいない夏の青空に向かって
乾いた風が吹くこの街の風紋は
だれにもみえないみたい君以外には
夏の太陽みたいに明るく光る君の言葉に
ありえないほどのやさしさを感じて
いつまでだって待っていられる気分は上々
嘘は嫌いじゃないがこれは嘘じゃないって
この青空の下でだけは見逃さないで
これだけは強くなってまっすぐ見栄を張って
なにもトラウマになんかするつもりもないし
あたしも君も大丈夫なんだって信じてる
少しあたたかいだけのキスもしたことだし
まるで二匹の蛇みたいにあたしたちは
蘇るストーリーを読むようにお互いを噛む
ほんとうの心の芯はむろん噛めやしない
遠い想い出というか過去の煌めきというか
愛おしいというか抱きしめたいというか
あたしたちはいつだって立ち止まらなかった
生きることに苦痛なんて伴わないと
あたしだけをみつめる瞳のなかの嘘は
静かに燃えていてだからとても穏やかで
君だけをみつめているあたしの
おもわず吹き出しそうな笑い声みたいに
すこしアッチ系の愛情色を滲ませているんだ
この聴きとりにくいラブをただの嘘だと
読みもせず笑い飛ばしてくれてもいいけど
最後まであたしたちは虹を待っていたよな