悲しいけれど悲しく無い
命しずかにしあわせな夜
微笑まないで孤り月
人のゆきかう街角に
夜の香りが充ちて来る
夜を恋する魚の群れは
人魚の素足を夢にみる
不安を癒す膝枕とか
かってな悲しみ散らす嘘
カンパネルラが髪乱し
いつまでも翔ぶ抱き心地
出逢いを恨む暇も無く
遊び疲れて愛に泣く
間違っている唇に
寂しいホントをくちづけて
暗い涙の果てにみた
かすか煌めく星の夢
悲しいけれど悲しく無い
ただもうそうだと云いはって
なにもみえない闇の奥
冷たいからだを追い求め
瞳は遥かな風をみて
卑しい涙を乾かせる
小石のように蹴った嘘
わがままだけが人生だとか
悲しいけれど悲しく無い
ただもうそうだと云いはって
うたをうたってむなさわぎ棄て
けれども寄せ来る孤月の涙よ