嵐の痕
激しい 嵐が 過ぎ去った
そのあと
訪れる 新しい光や やさしい安息は
まるで愛する人のように
僕のこころを そっと くるんでくれる
すべてを 許せるくらいに
憎しみを 手離せるくらいに
嵐の 夜を 越えて
いると 想う いや 想いたい
あの 二度と手に入らない栄光や
そして 二度と手に入らない あの微笑み
活けた
花
の
花びらが
ひとつ ふたつ 散るように
しとしとと降り頻る彼女の涙みたいな
夜の夢の痕
が
切り裂いた胸の傷は乾きはしても
けっして消えない不揃いな悲しみとなる
ころは
過ぎた
はずの
跡の
絶望の
トラオアー
夜が好きだった 彼女の
面影ばかり 夜には追ってしまう
夜が 怖いのは そういうわけで
それは憂いを叫びに変える 永遠の牢獄
美しい人
の
生命が
ひとつ ふたつ 散るように
しとしとと降り頻る彼女の涙みたいな
夜の夢の痕
だけが
いつまでも
残り香となって僕のあたまを狂わせる
僕を 狂わせた 嵐は
もう 去ったはずなのに
僕はいつまでも
狂ってしまっている
激しい嵐が 過ぎ去った
朝の
からみつく 光の トレーネ
激しい 嵐が 過ぎ去った
そのあと
訪れる 新しい光や やさしい安息は
まるで愛する人のように
僕のこころを そっと くるんでくれる
なんて そんな わけもなく
すべてを 許せるくらいに
憎しみを 手離せるくらいに
心やすらぐ ときが やって来る
なんて わけも むろんなく
嵐の 夜を 越えて
いると 想う いや 想いたい
だけだ と しても
それでも いいんだ
それで あたりまえ なんだ
生きてゆく どんなあしたが
待っているとしても
そう 想っているよ
大丈夫
大丈夫 だよ
いつだってそう
彼女の声が やさしく くるんでくれる
あゝ そうだね
僕は 大丈夫 だね