ポエム
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傷のうた


むらさき色のあざが
胸のあちこちにあって
それが昨夜夢でみた絶望の傷だと
朝起きて震えながら気づくことはないか?

咲かないちいさな希望の花が
そっとふわりと揺れる風は吹き

風に耳をくすぐられていると
わたしになにを云って欲しいのか
なんとなくわかる気になり
それが夜のむつみごとではないのは
朝になればわかるものだから
ただ晴れ渡る果てしない大きな空を
流れてゆく雲の上に乗り
虹の国へいってみたいと
かたくなに自由を求めているのは
なにを想いやるわけでもない
すこし寂しい
夜を眠れなかったせいなのかも
しれないし愛の罪も知らないし

深い心の奥で
エメラルドみたいに光る輝きが
これが悲しみを無視し終えた
鋭い傷だったりするんだね

じぶんのことで
頭がいっぱいな稚いこころねを
そっと棄て去ることができるなら
なんというかたくなな
深い傷だったのかと
すこしだけ怖くなるかもしれないな



鬼も泣く
胸の傷にも風が吹き
悲しみ色の真昼に染められ







24/05/29 23:28更新 / 花澤悠



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