とんがった坂
(短歌八首)
桜降る
空をみあげてキラメキと
未来の青さににじむ黒い目
ただ灯る
常夜灯には命さえ
照らしてくれるやさしさがあり
なにひとつ
咲かない人生なんかない
けれど咲いてもいつか散るけど
桜に陽
ばかりが射して悲しみを
川面を流れる花びらで知り
小窓から
みえるかぎりの青空は
なんだか絵画のなかの世界で
どうすると
尋ねられたら単純に
上だけをみるつもりと応える
とんがった
坂をのぼって振り向けば
不様によく似た足あと残り
悲しみが
胸から消えてゆく日まで
桜舞い散れハラハラハラリ