みもふたもない結論。
戦わない戦わない戦うことは怖いから。
先日奈良の興福寺で阿修羅像を見た。
生きる事は戦いだと。
その微笑みは語っているようだった。
それはたしかに正しいけれど、僕はそうじゃない。
あんな夜やどんな夜を過ごしても、
なのに僕は人を傷つけてしまった。
傷つけて生きて来た過去があるから、
その傷を癒してあげられなかった。
過去があるから、きっともう戦いたくないのだ。
戦わない戦わない戦うことは怖いから。
初めて会った日は戦っていただろう?
それから何度も何度も戦っただろう?
野原に寝転び星を見あげて、語り合った夜。
まるで虹色のシャワーが心にかかっている、
そんな幻影の恍惚を体験した。
それ以来、
僕は君を傷つけないように
それだけを願って生きてきたのに、
ある日、
君を傷つけるひどい言葉を云った。
とんでもない、ひどい言葉で、
君を突き刺してしまった。
おそらく二度と君のような人と出会う事は
できないのだとわかった時、
僕はもう二度と戦わないと決めたのだ。
戦わない戦わない戦うことは怖いから。