ポエム
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紅の風


  

そうやってあたしたちは
その声が聴こえてくるのを信じていた


今夜こそありがとうと云えるという
溶け始めたグラスの氷みたいな嘘を


だれもいない夜空に向かって
綺麗な風が吹く海辺の孤独から


堰を切ったように溢れ出した言葉を
ありもしないやさしさを込めて


今夜だけは見逃さないで
今夜だけは強くなって


なにもドラマなんかじゃないけど
大丈夫なんだって信じてる
.

みていたあたしたちは
蘇るストーリーを読むように唇を読む


愛おしいというか過去の輝きというか
あたしたちはいつだって立ち止まらなかった


生きることに苦痛なんて伴わないと
あたしだけをみつめる瞳の静かな炎の色は


君だけをみつめているあたしの
おもわず吹き出しそうな笑い声みたいだ


この歌をコメディと想ってくれてもいいけど
最後まであたしたちは紅の風だったよな







24/02/26 19:48更新 / 花澤悠



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