紅の風
そうやってあたしたちは
その声が聴こえてくるのを信じていた
今夜こそありがとうと云えるという
溶け始めたグラスの氷みたいな嘘を
だれもいない夜空に向かって
綺麗な風が吹く海辺の孤独から
堰を切ったように溢れ出した言葉を
ありもしないやさしさを込めて
今夜だけは見逃さないで
今夜だけは強くなって
なにもドラマなんかじゃないけど
大丈夫なんだって信じてる
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みていたあたしたちは
蘇るストーリーを読むように唇を読む
愛おしいというか過去の輝きというか
あたしたちはいつだって立ち止まらなかった
生きることに苦痛なんて伴わないと
あたしだけをみつめる瞳の静かな炎の色は
君だけをみつめているあたしの
おもわず吹き出しそうな笑い声みたいだ
この歌をコメディと想ってくれてもいいけど
最後まであたしたちは紅の風だったよな