ポエム
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どぉか

  

揺れてる月の音が
ちゃん!
と聴こえたと云っても
だれも信じてくれなくて
壊れかけた玩具をみる目で
あたしをみやがるちっちゃな世界

だからほらあたし
今夜は一睡もしてないよ?
でも壊れなかったよ?
って
こんなに固く固くコンクリみたいな証拠を
どれだけ塗り固めても

「わたし」だって
不眠症ですからねって
壊れかけのガラクタと壊れた玩具を
いっしょくたにする
始末さあたしはさ

星の王子さまが
海に降り立ったとしたら
海底でアンコウと
ちょっと哲学めいた物語でも
語ったと考える「わたし」と

おなじではないと想うのだが。

あたしは知ってるよ

海に落っこちたら
とても可愛い亡霊になって
沈没船を探検するんだよ
あの王子さまは

いつの日か
湧き水が湧き
清水が流れて
小川になり
子どもたちが水車やザリガニ釣りで
無心に遊ぶころを過ぎても

なにも変わらず水は
なにもかもを知らないと云うんだ

ただ流れていると云うんだ

だれにも聴かれないちっちゃなささやき

綿毛のように
かるくかるく
君のちっちゃなこころの扉を
ノックするかもしれないね

でもそれはきっと慰めの夜さ



揺れてる月の音が
ちゃん!
と聴こえたと云っても
だれも信じてくれなくて
壊れかけた玩具をみる目で
あたしをみやがるちっちゃな世界

だからほらあたし
今夜は一睡もしてないよ?
でも壊れなかったよ?
って
こんなに真実みたいな証明を
どれだけ頑なに証明し終えたとしても

どんなに頑張ってほんとうを云っても
こころに響かなけりゃあ
ただの心臓だよね?


遠くの人たちが歌っている
悲しげな子守唄がありがたいかな

どぉか
あたしに安眠をお与えください

どぉか
どぉか








24/02/15 03:58更新 / 花澤悠



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