いいね。
十字架みたいな雲が
青空に突き刺さり
みるひとに敬虔な
歓びを感じさせてくれたとして。
土を耕すひとたちは
一日の終わりの食事のころ
いっぱいのワインを飲みながら
指を絡めて
なにごとかを祈る。
祈る資格さえ持つものは
いいね。
なにも持たないわたくしは
アルコールからの影響を断ち切るために
ワインを斥けるから
寂しくも豊かな夜を
迎えることとなる。
美しい声が聴こえる夜は
いいね。
頭と心を使い尽くしたひとたちは
一日の終わりにそっと
十字架に祈り
昼間にみた青空の清々しさと
十字架の雲をみたことを
家族に報告する
「おやすみなさいのまえに
伝えたいことがあって
今日昼間透きとおった青空に
雲が作ってくれた十字架が
突き刺さっていたんだよ」
やさしく微笑みながら
目に泪を溜めながら
やさしく微笑めるものは
いいね。
十字架みたいな雲が
青空に突き刺さり
生きてゆくひとが囚われる
さまざまな罪悪を
身代わりに背負ってくれた
神さまを信じ切ろうとするひとに
夜を待つ
敬虔な
歓びを感じさせてくれた
神さまを信じ切ろうとするものは
いいね。
わたくしは
なにものも信じ切れずに
ただ都合の良いときだけ
神さまに祈ってしまう
そんな
うすい雲みたいなおねがいを
神さまにしてしまう
ていたらくだ
あゝ、それにしても
波乱も万丈も望まないけれども
安らかな眠りを
ただの使い古したおねがいだけれども
ただ安らかな眠りを
わたくしに
戴ければ有り難いのですが………
そうしたら神さまあなたに
いいね。
するよ。