冬の天
(短歌九首)
夜空にはいろんな名前の星があり死神だっている冬の天
舌に残る真雪(まゆき)のようなキスのあとさみしい味の君に驚く
立ち竦(すく)むよごれた新雪この胸の裏にはりつく傷を知られて
この音色(こえ)が消せない夢中(むちゅう)でからみあう気絶しそうなド甘(あま)のキッスで
血の味が鉄の味だと知っているさみしい君の唇が好き
三日月が思考の死角に昇る冬嫌われてもいい好きって伝えた
君だけを守るじぶんの痛みなど平気で無視する勁(つよ)さが欲しい
どの街にもいちばん高い建物があるのに不幸に泣くひともいる
夜空にはいろんな輝度(きど)の恋があり麗人だって泣く冬の天