海鳴り
海が白い牙を剥き
体を震わせる
海鳴りが聴こえる
小雪が真横に飛んだり
上へ向かうところもある
波は雄大に押し寄せる
黒い兵隊たちのようだ
どんな異変も見逃さず
飲み込んでしまい
何事もなかったように
ただこの海岸に押し寄せる
ひとりきりで
もっと早く来ていたら
なにかが変わっていただろうか?
以前みたこの海は秋の静かな海だった
砂浜に打ち寄せる波の音が
心をじんわりと癒してくれた
ほんとうって
なにだろう?
今日この海に来て
黒い海の白い牙をみて
轟く海鳴りを聴いていると
なにがほんとうなのか
わからなくなる
ただ震える体を休めるために
この海をあとにして
あの部屋へ帰ろう
ゆっくりとでもいい
あの部屋へ帰ろう