秘密のお願い
椎茸と茄子が
あんなに嫌いだった子どものころ
ささやかなしあわせの風が
世界中に吹いていると
理由もなく想っていた
世界は完全に僕の味方じゃなかったけど
すこしはあたたかくて
やさしい気持ちにしてくれた
最近ふと
あのころにふと帰りたい
と想うのは
なぜなんだろうか?
世界中で
新しい夢が
どんどんどんどん叶えられるものだから
僕は愚かにも
なわとびで空を飛べてる未来が
来るんじゃないかと夢をみていた
あのころみんなにとって
未来はピカピカな黄金色に
輝いていたそんな秘密を
みんなが知っているつもりになっていた
未来はすでに決まっていたのに
冬の風吹く街を
ポケットに手を入れて歩く
やさしいひとになりたい
やさしい気持ちになれる秘密を
どうか教えてください
みあげると遠くの山の尾根が白く
あの天空では
地上のものとは違う
凄まじい吹雪が吹き荒れているかもしれない
いくたびも目指した純白の世界が
そこにはあるかもしれない
神さまお願いがあります
あの空に浮かんでいる
甘くて美味しそうな綿菓子を
食べれる秘密をお教えください
どうか教えてください