冬の昼の月
なぜ昼に月がみえるのか
理由はかつては知っていたが
いまはもう
忘れてしまった
有名な店に
ランチを食べにゆく
天気予報は曇りだと云ってた
それでもいまは
束の間の晴天
つかえていた胸の異物が
スーッと
溶けてなくなるような
感じ
『これでいいのだ』と想う
あ
まるで誰かのパパみたいだなと
想うとかすかにくちびるが緩む
晴れた冬の月は
ひんやりと
うっすらと
青空に溶け込んでいるようだ
すこしまえに通り過ぎた
飛行機雲が次第にぼやけてゆく
いずれ青空に吸い込まれるのだろう
そのあと雲は
どこまでゆくのだろうか?
陽の光が鼻の奥をくすぐり
思わずくしゃみが出そうになったので
慌てて前を向いて
ランチへ向かう足どりもかるく