夜想
その控えめな笑顔で
黄色い嘘を語るとき
彼女はけして悲しんでいるわけではない
真夜中
みえない月虹がみえるという歌詞の
異国の歌を聴くだろう
そのとき
美しい黄色い嘘は
幻のスクリーンに
破れる夢の
カケラのように優しい
星空を舞う妖精の涙を
おぼろげに映すだろう
そのときが来て
笑って死ねるのなら
いまが苦しくても
生きていたい
だけど風に吹かれるとふと
楽かった彼女との生活を振り返り
ひとりで
生きられるくせに
彼女が恋しい
ひとりで
生きられるくせに
ひとりきりの未来など
みたくはないと
寂しいほんとうに気づく
星空を飛び
街の灯のなかにしあわせをみつけたいと
祈ってしまう夢をみた
彼女にこいねがう
私を幸せにしてくださいだなんて
そんな
ひとまかせな綿菓子みたいな希みを
たいせつだと想う