ポエム
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ゆめなかの夢


 

  I

深い森の奥で
いまあのひとは旅立とうとしている

黄金の光を身に纏い
短い一生を駆け抜けて
いまあのひとは旅立とうとしている

低い空に在る
赤い大きな月が
あのひとの最期を
見守ってくれている

晴れた夜空には
無数の星たちが
瞬いてくれている

いままで闘いつづけ
傷つきつづけた
その身体(からだ)を
その精神(こころ)を
ゆっくりと寝(やす)ませてあげてほしい

そして新しい生命(いのち)として
今度は闘わなくていい生命(じんせい)を
生きてほしいと想う


  2


新しい夢が創造(つく)られる空へ
あなたは旅立とうとしている

空に響くメロディーは
あなたの愛したひとの歌声だろう

まだ年齢(とし)若い気高い魂のまま
美しくましろなその肉体を抜け出て
空へ上昇(のぼ)ってゆくだろう

やさしい微風(かぜ)に吹かれて
あたたかい夜空を飛翔(と)ぶだろう

あたたかい夜空に
あたためられながら
そんなゆめなかにゆったりと揺れながら

あなたが守ろうとした
この
美しく素晴らしい世界は
きっと
立ち直ることができると想う

そして
そういった
すべてのやさしい世界に残された私
あなたにおいてゆかれた私は

やっぱりあなたを恋しく
想う
いつもあなたに出逢いたいと
想う
そんな
アホなゆめをまだみてる






23/12/30 10:57更新 / 花澤悠



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