悲しい雫
ひとりきり
記憶の中に溶けている
あなたも私を愛さないから
柔らかな
光の中に雨があり
さながらあの世の母の涙か
えぐられた青空の傷
空きカンを投げつけ痛む
心の隙間
愛も無く狂う力も意地もなく
やがておぼろな
雲になりたい
気がつけば
いつのまにかに焔立つ
北の女の魂の歌
まだ赤い
心の花の戸惑いに
顔を埋めて匂いを嗅ぎたい
信じない
天使が僕の嫌いな歌を
歌う絶望、化石の涙も
銀の鈴
たったふたりの箱庭に
七色の音が聴こえて、残り香
水際で並んで見ていたさざなみを
心の色だと
触れてみせたね
ふたりして並ぶベンチの上に咲く
青空よりも
あかるい風船
誰よりも待っていたのは
初めから
虹が嘘だと知っていたから
夏を知る
正しい神とめんどうな
悪魔の夜のキスに戸惑う
まぎれもない
愛という名の薔薇の道
つぼみのそのあとただ咲き誇れ
極北の凍った私に花の香が
かおる悲しみ
雫に変える