ポエム
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振り返れば行き過ぎた8月
 
静かで長くて熱い夏の夜に
頭から花を浴びて溺れた8月

悲しみは咽び泣かずに
ピッピッピっていう
電子音みたいに警告を発する

そのまま生きればどうなるというのか

むせるようにプンプン匂う
濃いめの夏の花の香りに溺れたままで


真っ白な真昼は突き刺す日差しで
僕を焼き殺そうとして来た
ちょっと大袈裟だけど
袈裟斬りされた気がするほどだった

なんとか生き延びて街が赤く染まるころ

夕暮れどきなのに寂しくなかった
懐かしさが心に染みる7分間だったな


三日月が異様に大きくて
鎌みたいに鋭くて
この街で一番高いビルを
切り倒したがっていた


夜に叫びをあげても
だれも僕をみてくれない無関心な街で
ボクヲミテクダサイ
と真っ黒なアスファルトをみつめて
祈った
吹く風に

ダレカボクヲミテクダサイ

って
人は行き過ぎ
車も行き過ぎ
人生ってそんなもんだったな

夢のようなイルミネーションをみて
夢の中で生きてゆこう

僕を殺そうとしないでほしいと
吹く風に
祈った








23/11/26 14:41更新 / 花澤悠



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